税収と財政 2020 6 20

 新型コロナウイルスの感染拡大によって、
経済に対する影響も大きなものとなっています。
 雇用の悪化や所得の悪化に対して、
国や地方自治体が、個人や事業者への支援を強化しています。
 しかしながら、今年は、
個人や事業者に焦点が当たりましたが、
来年は、国や地方自治体の財政が問題になるでしょう。
 そもそも、税収というものは、法人税は別として、
基本的には、1月から12月までの所得に対して税収があるのです。
つまり、来年の税収は、今年1月から12月の個人や事業者の所得によるのです。
 所得とは、「収入−経費=所得」ですので、
赤字であれば、税金はかかりませんが、
国や地方自治体の収入はなくなります。
 もちろん、国には、実質的に通貨発行権がありますので、
収入に困ることはないでしょう。
 国は、国債を発行して、
それを市中で中央銀行が買い取れば問題ないでしょう。
 別の方法として、「政府紙幣」という手段もあるでしょう。
現時点でも、100円硬貨などは、
日本銀行ではなく、政府発行ですので、
「1億円硬貨」の発行も可能でしょう。
 国は、このような手段を持っていますが、
地方自治体は、収入に困ることになるでしょう。
 つまり、今年は、個人や事業者への支援、
来年は、地方自治体への支援がテーマになるかもしれません。
 一般的に、市町村は、固定資産税という「固定収入」がありますが、
個人や事業者が収入に困れば、固定資産税を払えなくなります。
 来年、市町村の「倒産」が続出しないように、
今から対策を立てておく必要があります。
 そういう事態にならないためにも、
新型コロナウイルスが心配でしょうが、
経済活動を拡大させる必要があります。
 ところで、これを書いている時に、
「ドーマーの定理」を思い出しました。

経済学入門 2010 9 19

書名 日銀につぶされた日本経済
著者 山本 幸三  ファーストプレス

 経済学を勉強する前に、
まず「名目」と「実質」の違いを勉強しましょう。
これがわかっていないと、
いくら高度な理論を身に付けたとしても、砂上の楼閣です。
 たとえば、こんなことを考えてみましょう。
日本は、金利が高い。
これに対して、多くの人は、こう言うでしょう。
「そんな馬鹿な。金利はゼロに近い」
 確かに、名目金利はゼロに近いと言えますが、
実質金利は、高いかもしれません。
 物事を見るときは、
「名目で見るとどうか、実質で見るとどうか」という具合に、
常に、二つの視点で、複眼的思考で考える必要があります。
 さて、前置きが長くなりましたので、本の紹介に入ります。
この本には、いろいろな論点がありますが、
気になったところを取り上げましょう。
(以下、引用)
「デフレは、税収を減らす」
 デフレは、国家に対しても大きな損失をもたらす。
国家運営の元となる税収が、デフレで名目GDPが減少する結果、
大幅に落ち込むからである。
 税収は、基本的に企業の名目利益や個人の名目所得など
名目の儲けに税率を掛けて計算されるものなので、
名目GDPの増減に応じて税収も増減する関係にある。
デフレが起きると、この名目GDPがマイナスの物価分だけ減少し、
それに応じて税収も落ち込むのである。
(以上、引用)
 最盛期に比べて、税収が大きく落ち込んだと、
あまり言い過ぎると、なんだか国力低下を宣伝しているようなものなので、
「名目税収」だけでなく、「実質税収」でも発表した方がいいのかなと、
むなしい冗談を言いたくなります。
 次の話題に行きましょう。
(以下、引用)
「デフレは国家財政を破綻させる」
 デフレで税収が減り続ければ、
当然、国家財政は危機に瀕するわけであるが、
これをもう少し理論的に詰めておこう。
(中略)
 結論から言えば、将来的に国債発行による財政赤字が収斂していくか、
それとも拡散し破綻に向かうかどうかを決めるのは、
名目GDP成長率が名目金利(典型的には10年物国債金利)を上回るかどうかである。
(以上、引用)
 デフレの弊害については、
たいていは、家計や企業を対象として議論している本が多いのですが、
この本は、国家財政にも焦点を当てているという点で、ユニークだと思います。
 かねがね、不思議に思っていたことですが、
あまりにも長引くデフレに対して、
税務当局は、どうして不満の声を上げないのかということです。
もしかして、税務当局は経済学を知らないのかもしれません。

























































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